抄録
投球障害肘の危険因子に球速の増加があり,球速の増加に伴って肘関節外反ストレス(外反ストレス)は増加する.外反ストレスの制動に浅指屈筋(FDS)は重要であるが,健常投手におけるFDS機能や球速との関係は不明である.本研究の目的は,健常投手における各指のFDS筋力の特徴を明らかにし,球速との関係を検討することとした.対象は肩肘痛のない中学・高校野球投手26名とした.FDS筋力は示指,中指,環指で計測した.球速は5m間で全力投球させ計測した.FDS筋力の比較には一元配置分散分析とBonferroni法を用い,球速との関係をピアソンの相関係数を用いて検討した.示指と中指のFDS筋力は環指よりも有意に高値であり,球速と有意な正の相関関係を認めた(示指r = .59,中指r = .48).健常投手では,球速とともに外反ストレスが増大するため,示指と中指のFDSの役割は重要であると考える.