日本肘関節学会雑誌
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Print ISSN : 1349-7324
Ⅸ. 腫瘍・類似疾患
肘部管症候群との鑑別を要した神経周膜腫の一例
山賀 崇栗本 秀原 龍哉山本 美知郎岩月 克之米田 英正佐伯 将臣徳武 克浩村山 敦彦杉浦 洋貴平田 仁
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2023 年 30 巻 2 号 p. 402-404

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抄録
 神経周膜腫は稀な神経原性腫瘍である.尺骨神経に発生し,肘部管症候群と鑑別を要した症例を経験したので報告する.症例は,17歳男性.2年前から握力低下,環指小指の痺れを自覚,徐々に手の変形も進行し,前医を受診した.身体所見,神経伝導速度検査から肘部管症候群と診断し,神経剥離,皮下前方移行術を施行するも神経所見の回復が乏しかった.術後2年経過時,上腕骨内側上顆近位レベルで尺骨神経に索状物を触れ,神経原性腫瘍を疑い当院に紹介された.
 腫大した尺骨神経を7cm切除,腓腹神経でcable graftを作成し,神経移植した.病理所見は、EMA陽性,S-100陰性の神経周膜細胞の増殖を認め,神経内神経周膜腫と診断した.
 筋力は徐々に回復し,術後6年経過時点で,骨間筋の萎縮は残存するも,鷲手変形は認めず,小指は感覚鈍麻が残存するも感覚障害も回復傾向を示した.この論文は第35回日本肘関節学会で発表した.
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© 2023 日本肘関節学会
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