抄録
小児のMonteggia骨折に着目し,その治療戦略について検討を行った.2015年4月~2022年9月に当院で加療を行った尺骨急性塑性変形(APB)を伴う症例と,転位が軽微な尺骨近位端骨折を伴う症例の小児12例を対象とした.平均年齢は6.4歳,男7例,女5例であった. Maximum Ulnar Bowing(MUB)が改善し回内外を行っても橈骨頭が再脱臼せず安定している症例はギプス固定,その他は観血的手術へ移行した.非観血群9例,観血群3例であった.術後のMUBの患健側差は非観血群のAPB症例で平均1.46mm,fracture症例で0.96mm,観血群は全てfracture症例で0.78mmであった.APBの症例で非観血的整復を行いMUBの患健側差が2mm未満までの改善は保存加療可能の一つの指標となりうる.骨折を伴う症例では尺骨の観血的手術を行い安定性を得ることが大切である.