日本肘関節学会雑誌
Online ISSN : 2434-2262
Print ISSN : 1349-7324
Ⅱ. 先天性疾患
先天性橈尺骨癒合症に対する局所有茎筋膜弁挿入と尺骨回旋骨切りを併用した分離授動術は前腕回旋運動再建と再癒合防止に有用である
井手尾 勝政加藤 悌二米満 龍史入江 弘基宮本 健史
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2023 年 30 巻 2 号 p. 6-11

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抄録

 先天性橈尺骨癒合症は稀な疾患である.著者らは,前腕背側からの有茎筋膜弁を用いた分離授動術を行い,骨切り術を併用している.本術式の術後成績を検討した.2005年8月から2022年10月までに,同一術者による手術をうけた7例9肢を対象とした.前腕伸筋群と尺側の屈筋群の筋膜を中枢側を基部として挙上し分離部に挿入した.30°以上の回内位症例では尺骨回旋骨切りを,橈骨頭脱臼例では矯正骨切りを行った.術前の前腕平均強直角度は回内24.5°,術後最終観察時の可動域は平均回外角度57.1°,回内角度27.3°,回旋可動域84.4°であった.平均2年10か月の経過観察で再癒合症例はなかった.本術式では,前腕のみの手術で良好な回外可動域を獲得した.また,骨切りの追加を行っているにも関わらず再癒合症例はなかったことから,本術式が分離部の再癒合防止に有用である可能性が示唆された.

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© 2023 日本肘関節学会
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