日本肘関節学会雑誌
Online ISSN : 2434-2262
Print ISSN : 1349-7324
Ⅲ. 外傷・外傷合併症
完全転位型小児上腕骨顆上骨折の当科における手術手技
岡部 眞弓大村 泰人関根 巧也上原 浩介門野 夕峰
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2023 年 30 巻 2 号 p. 12-17

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抄録

 完全転位型小児上腕骨顆上骨折の手術手技に関するコンセンサスは得られていない.今回,当科の手術手技と成績を報告する.対象は2015年1月から2022年10月までに完全転位伸展型で後述の手技で手術し,術後3か月以上経過観察可能であった22例とした.整復はまず1分間以上牽引し短縮を解除し,次に前腕回内外で側方転位を整復し,最後に肘頭を押し込み肘屈曲させ背屈転位を整復する.手術はまず肘頭外側のsoft spotと外側上顆から鋼線を刺入し,次に肘伸展回内位とし尺骨神経の前方脱臼を防ぎ,内側上顆腹側から鋼線を1本刺入する.結果は手術時間の中央値は15.5分,Flynnの評価ではexcellent 21例,good 1例であった.小児のため至適位置に鋼線を刺入することは容易ではなく,鋼線の打ち直しにより手術時間がかかることを経験する.当科の手技は,手術時間の短縮と良好な術後成績が得られると考える.

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© 2023 日本肘関節学会
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