抄録
本研究の目的は,結帯動作を最高位まで行った際の肘関節屈曲角度と肩関節,肩甲骨,上部体幹角度,体幹側方変位量の関係を左右ごとに明らかにすることである.健常男性20名を対象に,端座位における左右での結帯動作を三次元動作解析装置で計測した.最高位まで結帯動作を行った際の肘関節屈曲角度と,肩関節,肩甲骨,上部体幹角度,体幹側方変位量の相関を左右別に検討した.その結果,右肘関節屈曲角度は肩関節内旋角度,体幹側方変位量と相関があり,肩関節内旋角度が大きく,体幹側方変位量が小さいほど肘関節屈曲角度は大きかった.左肘関節屈曲角度と相関がある項目はなく,一定の関係性はなかった.以上より,肘関節屈曲角度と関連のある項目は左右で相違があると分かった.最高位までの右結帯動作時の肘関節屈曲に対して理学療法評価,治療をする際には,肘関節屈曲角度に加えて肩関節内旋角度,体幹側方変位量に着目することが有用になると考える.