抄録
肘および前腕の肢位による肘関節屈曲運動時の肘関節屈曲筋群の筋活動およびその比率の差異から,各筋を個別に評価する上で有用な肢位を検討した.健常男性10名に対し,肘屈曲0度および90度,前腕回内外を組み合わせた計4肢位で肘関節最大等尺性屈曲運動時の筋活動を表面筋電計にて計測した.被験筋は上腕二頭筋短頭(BBSH)・長頭(BBLH),上腕筋(BR)および腕橈骨筋(BRR)とし,肢位ごとに各筋の%MVICおよび肘関節屈曲筋群全体の筋活動に対する各筋の筋活動比を算出した.その結果,%MVICはBBSHが肘90度屈曲位,前腕回外位で0度位,回内位よりも有意に大きかった.また,BRRが90度屈曲位で0度位よりも有意に大きかった.筋活動比はBRが回内位で,BBSHが回外位で有意に大きかった.筋活動比から,肘関節屈曲角度に関わらず,前腕回内位でBR,前腕回外位でBBSHの機能を反映していると考えられた.