抄録
同側肢での橈骨遠位端骨折と肘関節脱臼骨折を合併した症例の報告は比較的稀であり,その多くが肘terrible triad injuryのものである.今回,橈骨遠位端骨折にVarus posteromedial rotation injuryによる尺骨鉤状突起骨折を合併した1例を経験したので報告する.症例は59歳女性で,登山中に岩場を降りる際に後ろむきに約1mの高さから転落.肩関節軽度外転位,肘関節内反, 前腕回内,手関節背屈位で右手をつく形で受傷した.橈骨は転位のわずかな関節面陥没型骨折であり,尺骨鉤状突起骨折はO'Driscoll分類 Type 2,Subtype 2の骨折で,橈骨頭骨折は認めなかった.肘関節は屈曲位では脱臼を認めなかったが,伸展位では亜脱臼を認め,Varus posteromedial rotatory instabilityと考えられた.