抄録
【背景】肘関節後内側回旋不安定症(PMRI)に上腕骨滑車骨折を併発した報告はほとんどない.今回我々はこの稀な症例を経験したので報告する.【症例】41歳男性.バイク転倒で右肘開放性脱臼骨折を受傷し,即日洗浄デブリドマンと脱臼整復術を施行.CT,MRIで尺骨鉤状突起骨折,上腕骨滑車骨折,及び外側側副靭帯損傷を認めた.治療は拡大Kaplanアプローチを用い,脱臼位にしながら滑車骨片と鉤状突起をDTJスクリューで固定した後,外側側副靭帯を再建した.術後1年現在,肘の安定性と骨癒合は得られている.【考察】 PMRIは肘関節に軸圧がかかった状態で内反することで生じるとされる.本骨折ではPMRIの発症機序に続いて内反,内旋した尺骨鉤状突起が上腕骨滑車と衝突したことで滑車骨折が生じたと考えられた.本例では,拡大Kaplanアプローチの一皮切でも,滑車骨片を固定することができ,有用なアプローチ法であった.