抄録
橈骨頚部骨折の術後に合併した異所性骨化を伴う肘関節拘縮に対する観血的関節授動術を行った1症例の治療経験を報告する.症例:56歳男性.左橈骨頚部骨折(Judet分類:Type2)と診断し受傷3日で全身麻酔下に骨接合術を行った.術後1か月単純X線像で橈骨頚部周囲に骨化病変が出現し前腕回旋障害を発症した.術後8か月,全身麻酔下に左肘関節の観血的授動術を行った.骨化病変は橈骨頚部を中心に外側から前方に連続して存在し,橈骨頚部の皮質との境界は明瞭であった.骨化病変を摘出し術中に関節可動域の改善が得られた.病理組織所見で層状骨辺縁に骨芽細胞の増生を認め,異所性骨化と診断された.術後9か月の調査時,単純X線像で異所性骨化の再発なく,JOA-JES score 100点であった.橈骨頚部骨折の骨接合術後に発生した異所性骨化に対し受傷から約8か月経過の比較的早期に観血的関節授動術を行い良好な成績が得られた.