抄録
稀な開放性陳旧性上腕三頭筋断裂を経験したので報告する.症例は16歳男性.ガラスで上腕伸側遠位1/3を受傷され,前医で受傷日に上腕三頭筋断裂に対して筋膜縫合を施行された.3週間三角巾固定し,その後制限なく運動を許可されていたが上腕伸側の疼痛,筋力低下,自動伸展可動域制限が持続し,再断裂の診断で当院紹介受診となった.受診時,可動域は抗重力位で伸展 -55° と著明な伸展制限を認めた.再手術の適応と判断し,断裂部断端に高抗張力縫合糸をKrackow法で可及的に引き寄せたところ欠損部が生じたため,腱膜全体を覆うように腸脛靭帯を移植した.さらに移植靭帯と三頭筋ごと縫合糸で修復した.筋腹の断裂に対する直接的処置は行わなかった.術後は抗重力位で伸展 -15° に可動域改善,また疼痛なく腕立て伏せ可能な程度まで筋力回復を認めた.陳旧性上腕三頭筋断裂再建法として腸脛靭帯を用いることは有用な選択肢の一つと考えられる.