抄録
肘関節側副靱帯修復症例に対する術後後療法において,Münster castを応用した外固定法を用いて治療を行い,臨床成績を調査した.術後6か月以上経過観察が可能であった患者21例(男性15例,女性6例)を対象とした.受傷時平均年齢は39歳(12-70歳)であった.外側側副靱帯修復を11例,外・内側側副靱帯修復を10例に行い,併存骨折を11例に認めた.術後3-10日でMünster cast固定を開始し,症例により術後2週は伸展ブロックを追加し,3-4週で抜去した.最終経過観察時において修復された靱帯に破綻を生じた症例はなく,平均可動域は肘関節伸展-14° ,屈曲131° ,前腕回内54° ,回外67° であり,MEPSは平均93点であった.本法は簡便な作成が可能であり早期の自動屈伸運動には有用と考えられた.一方,修復部位や併存骨折に対する生体力学的影響については慎重な評価が必要と思われる.