抄録
稀な小児terrible triad injury(TTI)の1例を経験したので報告する.症例は10歳女児,転倒し受傷.X線で橈骨頚部骨折を伴う肘関節後方亜脱臼,CTでtip typeの鉤状突起骨折があった.TTIと診断し橈骨頚部骨折の経皮的鋼線固定を行った.肘関節伸展-30度以上に伸展すると亜脱臼がみられたが,それ以下では関節求心性が保たれていたため,靭帯と前方関節包,鉤状突起の修復は行わず手術終了した.術後4週肘上ギプス固定し,術後4週で鋼線抜去した.術後2年経過し経過良好である.TTIの治療原則は骨性・靭帯性要素の修復を行い,関節求心性を獲得することで,小児に対しても同様とされている.一期的ヒンジ付き創外固定法で求心性が保てれば瘢痕治癒で靭帯性要素は再建される事実と,比較的長期の外固定でも拘縮が起こりにくい小児の特性から,橈骨の経皮的鋼線固定でも小児TTIは治療が可能であると考えた.