抄録
複合性肘関節不安定症の病態に基づく鉤状突起骨折型の特徴と治療戦略について検討した.対象は鉤状突起骨折を伴う複合性肘関節不安定症52例で,問診をはじめ画像所見や術中所見などから包括的に考察してTTI 24例,PMRI 8例,AOFD 8例,POFD 12例に最終診断された.これらの病態ごとの鉤状突起骨折型(O'Driscoll分類),治療方法や臨床成績を調査した.TTIではtip,PMRIはanteromedial,OFDはbasalの損傷が多い特徴があった.治療においては受傷機序を十分に考察した上で手術進入法や内固定法を選択することで,臨床成績は日本整形外科学会-日本肘関節学会肘機能スコアでTTI 91.2,PMRI 94.6,AOFD 89,POFD 89.5点であり,肘不安定性の遺残もなく概ね良好な治療成績であった.