2025 年 32 巻 2 号 p. 146-149
尺骨非定型骨折は偽関節の発生率が高く,骨移植の併用が推奨されるが採骨部への侵襲が問題となる.今回,尺骨非定型骨折に対し反転骨移植術を併用し良好な成績が得られたため報告する.症例は73歳女性,よろけて壁に手をつき受傷,右尺骨近位骨幹部の横骨折で,骨皮質の肥厚と髄腔の狭小化を認め,尺骨非定型骨折と診断し手術を行った.手術では骨折部より遠位に1.5 cm,近位に3 cm,幅1 cmの長方形に移植骨を採取して髄腔内の硬化部を切除し,骨切り部から肘頭の海綿骨を採取して骨折部に移植後,移植骨の遠位と近位を反転して採取部に移植しプレートにて固定した.術後3か月で骨移植部での癒合が得られ,術後7か月で骨折部も癒合し,最終術後13か月で機能障害も認めなかった.本術式は他部位への採骨による侵襲がなく,骨折部の処置も容易で,肘頭からの海綿骨移植も可能であり,非定型尺骨骨折に対し有用な術式と考える.