2025 年 32 巻 2 号 p. 63-65
高齢者上腕骨通顆骨折術後に生じた肘関節外側不安定性に対し,保存療法にて良好な治療成績を得た1例を報告する.症例は74歳女性,屋外で転倒し受傷.受傷2日後にダブルプレート固定法による骨接合術を行った.術後X線正面像で腕頭関節裂隙の開大がみられ,側面像で橈骨頭は前方亜脱臼位だった.術中操作による肘関節外側不安定性と判断し,前腕回内位で肘伸展制限を設けたヒンジ付き装具装着下で可動域訓練を行った.術後5か月で骨癒合し,術後1年の最終経過観察時,機能障害や不安定性は認めず,屈曲140度,伸展−10度,前腕回内80度,回外90度,Quick DASHは2.3と良好な成績が得られた.本骨折において,遠位外側骨片が小さい場合や術中の過度の剥離操作により,外側側副靱帯の機能不全が惹起される可能性がある.軽度の不安定性であれば本症例のように後療法を工夫することで拘縮や不安定性を残さずに治療可能と考える.