2025 年 32 巻 2 号 p. 137-139
尺骨急性塑性変形を伴う橈骨頭前方脱臼に対する急性期治療は徒手矯正・整復が第一選択であるが,橈骨頭の整復位が得られない場合に尺骨矯正骨切り・橈骨頭観血的整復のどちらを優先すべきか,一定の見解は得られていない.当科では尺骨矯正骨切りを優先した治療を行っておりその術後成績,および術前MRIによる輪状靱帯介在について検討した.対象は6例,平均年齢8.0歳,平均観察期間406日,術前MRIで橈骨頭後方に介在した輪状靱帯の幅を橈骨頭径で除した値をL/D比と定義し,介在の程度を評価した.L/D比は平均0.41,全例で尺骨矯正骨切りを行い安定した橈骨頭整復位を得た.最終平均可動域は肘関節屈曲141.7°,伸展5.8°,回内85.0°,回外90.0°と良好であった.L/D比が大きいほど輪状靱帯介在の程度が強いと考えられ,今後もL/D比が橈骨頭観血的整復の必要性の指標となり得るか検討を続ける予定である.