2025 年 32 巻 2 号 p. 127-129
肘関節脱臼において近位橈尺関節が破綻する分散脱臼に橈骨頭骨折を合併し,前腕回外位でロッキングを生じた非常に稀な症例を経験した.症例は17歳女性と35歳男性で,橈骨頭が脱臼し前腕回外位のまま全く回内できない状態であった.徒手整復は不能で,手術の際に輪状靱帯の実質部断裂を認めるも整復不能で,最終的に橈骨頭の骨折縁と近位橈尺関節前縁でのロッキング部分を梃子操作にて解除した.自験例は分散脱臼の中でも非常に稀な集合脱臼の状態を呈していた.観血的整復を要した報告が散在しているが,われわれが渉猟しえた中で,整復阻害の原因として自験例のような骨折縁と関節縁でのロッキング状態を生じた例は認められなかった.発生機序は過度な回外位のまま前尺側へ脱臼した橈骨頭が,骨間膜の緊張が残存していたために骨折部で徒手整復不能なロッキングを生じたと考えられた.