抄録
東日本大震災がどのように環境行動に影響を及ぼしたかを明らかにするため,宮城県の大学生を対象としてSLE(Significant Life Experiences)研究を行なった。時系列調査を用いて,2011年から2019年の間,毎年一回ずつ記述式調査を実施し,現在の環境行動とその行動に決定的な影響を与えた体験(SLE)を尋ねた。393名の有効回答に対して,3名の評価者で分析したところ,下記の結果が得られた。1. 大学生にとって東日本大震災での体験は,「資源との関わり」というSLEになり「省エネ」という環境行動につながっていた。2. 東日本大震災での体験は,震災直後は影響力の大きいSLEとなるが,その影響力は年々弱くなっていった。