生態心理学研究
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Print ISSN : 1349-0443
特集 日本生態心理学会第1回大会 発表論文
生態心理学の諸概念による「進化的適応」考
右田 正夫
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2004 年 1 巻 1 号 p. 121-126

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抄録

 生態心理学は,動物一般を対象とし得る理論的枠組を提供する.このため,動物一般の行動を進化的適応という統一的な見方の上で扱う動物行動学とは,親和的な研究分野であると考えられる.現在のところ,二つの学問分野聞の交流はそれほど盛んではないが,今後様々な共同研究プログラムが考えられるであろう.そのような交流の結果として,単に互いの現状での正当性を保証し合うことで終わるのか,あるいは,新しい概念が流入することで各分野の理論的枠組の刷新が図れるのか,という問題は興味を引くところである.本研究では,生態心理学における“マイクロスリップ"等の概念を動物行動学に導入し,現代動物行動学の理論的基盤をなす進化的適応概念について再考することの意義について考える.

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© 2004 日本生態心理学会
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