2018 年 11 巻 1 号 p. 39-40
脳卒中患者は恐怖を感じると体を硬直させ,そのために動揺が増えるといった悪循環を呈する.また,硬直した身体では細やかで柔軟な環境知覚が困難となる.今回,恐怖心が強く過剰固定を呈した症例に対し環境適応を促すアプローチを行った.壁・床への適応を行うことで固定的な歩行の改善がみられた.しかし,過剰固定の改善とともに骨盤帯の動揺などの不安定性がみられるようになった.セラピストによる揺すりによる深層筋の活動性維持,左下肢支持練習を行い,介入後不安定性は改善し骨盤帯の動揺は減少した.本症例の回復経過には前進,後退がみられた.