2018 年 11 巻 1 号 p. 35-38
今回,後縦靭帯骨化と黄色靭帯骨化による胸髄症患者に対して術前から寝返りや起き上がりを通して支持面の変化の知覚を促したことで,連続・分節的な動きに繋がり,表在筋の過活動が軽減,深層筋の微細な姿勢調整がはかれた結果,滑らかな動作の獲得に繋がった.また,過剰な上肢残存筋の使用を控えて,足底や座面からの知覚を促したことで術前から下肢機能改善が得られた.術前後を通して一貫したアプローチを行ったことは術後の身体の変化や改善に対しての自覚をより強調し,その経過から信頼関係の構築,能動的な知覚探索活動に繋がった.今回の症例を通して,術前早期から一貫した知覚へのアプローチを行うことは身体機能面,情動面に対しても有用であると強く感じた.