2018 年 11 巻 2 号 p. 63-66
本研究は,二者間での身体接触が,立位動揺の軌跡の方向性および複雑性に与える影響を調べることを目的とした研究である.二者間の軌跡の方向性は,動揺にみられる低周波のトレンド成分によって影響を受ける可能性があるという仮説を立て,トレンド成分を含めた解析と,トレンド成分を除去したフラクタル時系列解析法を用いた.結果は,二者の接触は,静止立位の保持とともに接触を維持しようとする相互の調整をもたらし,リーダーとフォロワーの関係が固定されずに入れ替わるハイパーフォロワー関係の中で,二者の動揺パターンの類似性が増大した.さらにこの類似性は,局所的な動揺パターンの一致にとどまらず,より長期的な揺らぎを含めた姿勢動揺の複雑性にまで及んでいた.このことは,身体接触を介した静止立位時の相互作用を,テンセグリティ―構造をもつ身体間の相互作用として理解できる可能性を示唆している.