生態心理学研究
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日本生態心理学会第8回大会 オープンフォーラム
座位獲得以前の乳児が日常場面において自発的に手を動かして触れた環境内の対象
青井 郁美野中 哲士
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2021 年 13 巻 1 号 p. 63-66

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抄録

 座位獲得までの生後0か月から7か月頃までの乳児の育児記録をもとに,日常生活において,手が自発的に動いて触れた環境対象についての記述から分析し,対象と手の動きの関係について明らかにしていきたい.43 の記録を自発的に手が触れた18 種の環境の対象によって分類し,それらを5つの視点で分析した.A)姿勢;仰臥位、伏臥位、支座位に分けられた.B)環境にかかわる手の動きの開始;自ら手が向かった対象物と、他者が手に持たせたり置いたりする対象物があった.C)環境にかかわる手の動き;「触る」「握る」「振る」「開く」「移動する」「止める」が見られ,各々が組み合わさって見られる記録があった.D)手の動きにより環境に起こること; 手の行為により環境対象は「音がなる」「揺れる」「落ちる」「見える」「近づく」「ちぎれる」「はねる」「自分の感触」「無変化」という事象が起きていた.E)他者のかかわり;環境内の対象が手の動きにより変化したことに対して,直接的あるいは間接的な他者のかかわりが起こっていた.本研究の結果は,誕生直後から座位前段階までの乳児の手の動作を,環境との関係形成として記述する可能性を示唆するものである.

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© 2021 日本生態心理学会
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