生態心理学研究
Online ISSN : 2434-012X
Print ISSN : 1349-0443
特集2:生態心理学とリハビリテーションの融合
継ぎ足歩行練習が静的・動的立位バランスに及ぼす影響―縄上とテープ上継ぎ足歩行の比較―
杉本 圭中根 征也
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2013 年 6 巻 1 号 p. 83-84

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抄録

【はじめに】本研究では継ぎ足歩行について,単純に床上で継ぎ足歩行練習を行う方法と床面の上に縄を設置してその上で継ぎ足歩行練習を行う方法について立位バランス能力でその効果を比較検討した.【対象と方法】被検者は健常者 20 名とした.被検者を床に設置した縄の上で継ぎ足歩行を実施する群(以下,縄群)とビニルテープの上で継ぎ足歩行を実施する群(以下,テープ群)の 2 群に 10 名ずつ分け,静止立位での重心動揺検査,立位での重心可動域検査を各群で継ぎ足歩行を実施する前後で測定した.【結果】重心動揺検査の面積・総軌跡長は両群ともに継ぎ足歩行後の変化は小さかった.一方,重心可動域検査の面積は,縄群の継ぎ足歩行後の値が前値に比べて増大し,テープ群では,継ぎ足歩行によって減少する傾向を認めた.左右移動距離の変化は,両群ともに小さかったが,前後移動距離は縄群で継ぎ足歩行後の値が前値に比べて増大し,テープ群では減少した.【考察】縄の上を継ぎ足歩行する課題により,静的立位バランスの向上は認めなかったが,動的立位バランスの向上を認め,単純な歩行練習を繰り返すより,縄の上を歩くという,より支持面を探索的に行う歩行練習の方が,効果的に患者のバランス能力を向上させる可能性があることが示唆された.

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© 2013 日本生態心理学会
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