社会科研究
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初期社会科における教材映画の特色 : 「社会科教材映画体系」を手がかりにして
國分 麻里
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2013 年 79 巻 p. 1-12

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抄録
本稿の目的は,「社会科教材映画体系」の分析を通じて,初期社会科の教材としての教材映画の特色を明らかにすることである。初期社会科の教材は,単元学習のための問題群や資料,学習の仕方を提示するものであり,新教育の考えを背景にして映画も教材の一つとされた。社会科の教材映画に関する議論は1949年を機に盛んになり,4年間で39本の教材映画が「社会科教材映画体系」として製作された。結論として,教材映画の特色を以下の3点に整理することができる。(1)1948年発行『補説』の作業単元を基に題材を選定し,社会機能ごとに映画が製作された。(2)映画の各作品には,「映画のねらい」「学習展開例」「映画シナリオ」等を掲載した「指導書」がつけられ,授業をする際に教師がそれを用いるようにした。(3)授業実践において,映画には学習内容に必要な情報を与えるものと,児童の自主的な活動の様子を映画の中で直接経験させるものの2種類があった。特に後者は子どもの民主的な活動が描かれており,民主主義的な活動を広める意味もあった。
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© 2013 全国社会科教育学会
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