社会科研究
Online ISSN : 2432-9142
Print ISSN : 0289-856X
ISSN-L : 0289-856X
現代中国における小学校社会系教科教育改革に伴う授業実践の特質と課題 : 『2013年度全国優れたモデル授業集録(「品徳と社会」)』の分析を通して
宛 彪
著者情報
ジャーナル フリー

2015 年 83 巻 p. 13-24

詳細
抄録
本研究は,中国における小学校社会系教科教育改革に伴う近年の代表的なモデル授業実践に着目し,それらの量的・質的な分析を通して,現代中国における小学校社会系教科授業実践にみる教育改革の到達点と課題を明らかにするものである。そのために,分析対象として,中国教育学会が発行している『2013年度全国優れたモデル授業集録(「品徳と社会」)』(CD-ROM版)に所収の「品徳と社会」の24のモデル授業例を取り上げ,それらの量的・質的な分析を試みた。これらの授業論別の典型的な授業実践を取り上げた質的な分析からは,「理解型」「探究型」「問題解決型」に共通して,思考・判断力の重視,自主的・協同的な学習,調査や討論活動の導入,環境保護への実践的な社会参加活動など,「道徳性」と「社会認識」の統一的な育成を意図した授業構成が芽生えていることがわかる。このような特質は見られるが,優れたモデル授業においても,「道徳性」の育成を重視した価値的知識習得型の授業が量的に多いことや,教師中心の解説型の授業からの脱皮がなされていない点など,残された課題もある。
著者関連情報
© 2015 全国社会科教育学会
前の記事 次の記事
feedback
Top