社会科研究
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哲学教育における自己評価のあり方を探る ―子どもの対話と記述の関係の分析から―
岡田 泰孝
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2019 年 90 巻 p. 13-24

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抄録

 本稿の目的は,哲学的な学びにおける,自己評価のあり方を探ることである。

 哲学的な学びにおいて,教師は,共通了解や不和の顕在化を促す教授を行うことが有効であろう。また,評価のあり方は,子どもが自分の学びを自己評価することが有効である。

 哲学的な学びにおいて,自己評価をする際には,対話と記述を対象とする。そして,子ども達が,連続する二つの題材を通して学んだ自己評価の効果を検討する。第1題材で,子どもが自分で作成した自己評価の規準に基づいて自己評価をする。子ども達が,第1題材で学んだことを,第2題材の学びに生かすことができたのかが,検証されなければならない。それは,教師の鑑識眼的評価によって分析される。

 研究成果は,次の3点である。第1に,子ども達が自分で作成した評価規準に基づいて,自己評価を行うことで,子ども達が,自分の長所や短所を理解し,その長所の伸長や,短所の克服を意識するようになることである。第2に,教師も子ども達の個性を子どもに伝えて,自信をもたせることができることである。第3に,子ども達の自己評価において記述が重要ということである。その記述からは,子どもたちは,自分の考え方が変化したことを理解して,彼らの考えで足りなかったことを考え直そうとしたことが分かる。

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© 2019 全国社会科教育学会
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