社会科研究
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外部人材と子どもの熟議を促す社会科授業構成の原理と方法 ―地理的分野「地域に届けるハザードマップ」の開発と実践を通して―
井上 昌善
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2021 年 95 巻 p. 1-12

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抄録

 本研究は,外部人材と子どもの熟議を促す社会科授業構成の原理と方法を,外部人材を活用した中学校社会科地理的分野の単元開発と実践を通して検討することを目指すものである。本研究の成果は,他者との協働的な関係性としての共通善を形成するためには,学校に公共空間を創出させ外部人材と子どもの熟議を促す指導が必要になることを開発単元の結果に基づいて示したことである。外部人材と子どもの熟議を促すためには,次の三点をふまえた指導が有効である。

①課題解決のための共通基盤となる社会認識の形成を通して,子どもの思考の次元を変容させること。

② 外部人材によるフィードバックを通して,子どもの自尊感情を高め意見表明に対する抵抗感を解消すること。

③外部人材もまだ取り組んでいない現実社会の課題を中心教材として設定すること。

 本研究の成果は,外部機関との連携を重視する学校教育のあり方を検討する際の一助になる。今後の課題は,消防士以外の外部人材や関係機関と連携した単元開発を行い地域と学校の連携方法のあり方を検討すること,地域社会と連携する社会科学習を推進する教師の教科観や学力観について明らかにすることの二点である。

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