抄録
視覚障害者における視覚(墨字)、触覚(点字)、音声提示の短期記憶の差異及び、学
習上の文字及び音声の使用頻度との関連性について検討した。
対象は墨字または点字の読める聴覚障害のない成人視覚障害者。実験前に参加者の学
習状況に関するアンケート調査を実施した。実験はランダムの隣り合わない10ケタの
数字を、20秒間で墨字・点字又は音声で提示し、記憶した数字を紙に記入する方式で
続けて5セット行い、休憩後、提示手段を入れ替えるものとした。
墨字使用者の文字提示と音声提示では、文字提示による短期記憶再生率が高く有意差
が見られた。一方、点字使用者の点字提示と音声提示では音声提示の記憶再生率が高い
が、有意差は見られなかった。アンケート結果より、普段音声を主な学習手段と回答し
た者では音声提示が、音声以外を主に用いている者では、墨字・点字提示の記憶再生率
が高く有意差が見られた。視覚障害者では日常的に用いる墨字・点字または音声提示に
よる短期記憶再生率が向上することがわかった。