【目的】近年理療科においても生徒の実態の多様化が進み、国家試験を念頭においた指 導に多くの課題が生じている。そこで理教連教育研究部では理療科教員が抱える課題 の解決を目的に、事例集を作成することとした。その一環として苦慮事項収集のため の全国調査を実施した。 【方法】全国の盲学校等に所属する理療科教員を対象に、回答者の基本属性と苦慮事項 に関するアンケート調査を、郵送による自記式質問紙法により行った。 【結果】回答者は306名(46.29%)、有効苦慮事項件数は1022件であった。苦慮事項 件数の66.67%は、その科目の指導経験年数が5年以下の者から寄せられていた。墨 字使用者は10年以下の者で半数近くを占め、経験年数が増すにつれて減少していた が、点字使用者は経験年数の違いによる差が少なかった。苦慮事項を内容別に分類し たところ、基礎実習及び臨床実習では「指導技術」、人体の構造と機能及び生活と疾 病では「教材」、医療と社会、疾病の成り立ちと予防、生活と疾病、臨床理療学の4 科目では「授業準備」の件数が、それぞれ有意に高かった。