理療教育研究
Online ISSN : 2434-2297
Print ISSN : 1349-8401
多施設間連携ランダム化比較試験による 慢性膝痛に対するマッサージ療法の有効性の検討
―単回介入による直後効果―
水出 靖藤井 亮輔近藤 宏和田 恒彦岡田 富広柏木 慎太郎栗原 勝美西村 みゆき柴田 健一高澤 史古川 直樹長谷部 光二
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2016 年 38 巻 p. 9-17

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抄録

【目的】慢性膝痛に対するマッサージ療法の有効性を検証するため多施設間連携による ランダム化比較試験を行った。 【対象】施術所・通所介護事業所5 施設の利用者で一定の基準を満たす膝痛を有し、本 研究の趣旨に同意の得られた29 例(平均年齢67.9 ± 7.7 歳)を対象とした。 【方法】介入群(膝周囲の軟部組織に対するマッサージと運動療法、以下M 群)と対 照群(安静臥床、以下C 群)に乱数を用いて無作為に割付け、膝関節屈曲可動域、殿 踵間距離、膝窩床間距離、疼痛出現しゃがみ込み角度、TUG test、5 m 歩行時間・ 歩数、疼痛のVAS について介入前後で比較した。 【結果】両群間の介入前後の変化は、膝屈曲角度、膝窩床間距離、疼痛出現しゃがみ 込み角度において交互作用を認め(すべてp<0.05)、M 群で有意に改善した(各 p<0.01、p<0.05、P<0.01)。また、すべての被験者に明らかな有害事象は認めなかっ た。 【考察・結語】慢性膝痛に対するマッサージ療法は、関節機能の改善に有効かつ安全性 の高い方法であることが示唆された。

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© 2016 日本理療科教員連盟
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