理療教育研究
Online ISSN : 2434-2297
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ランダム化比較試験による膝痛患者の臨床症状に対する マッサージ療法の有効性に関する探索的検討:複数回介入による効果
水出 靖栗原 勝美岡田 富広緒方 伸彦柏木 慎太郎柴田 健一高澤 史西村 みゆき古川 直樹和田 恒彦長谷部 光二近藤 宏藤井 亮輔
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2019 年 41 巻 1 号 p. 7-16

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抄録

【目的】膝痛患者の臨床症状に対するマッサージ療法の複数回施術の有効性について探索的に検討する目的で、多施設間連携によるランダム化比較試験を行った。 【対象】施術所及び通所介護事業所、計4施設の利用者で、一定の基準を満たし事前に研究の趣旨と概要を説明して同意の得られた膝痛を有する61~89歳の27例27膝とした。 【方法】封筒法にてマッサージ施術(M)群15例と対照(C)群12例に無作為に割付けた。介入は、M群は膝関節周囲の軟部組織に対してオイルを用いたマッサージを15分間、週1回・計4回行った。C群はマッサージ介入相当時間の安静臥床とした。両群ともにそれまで受けていた治療は継続した。評価はJKOM、SF-36、疼痛のVAS、膝関節屈曲・伸展角度、疼痛出現しゃがみ込み角度、TUG testとした。 【結果・考察】両群間に統計学的に有意差は認められずマッサージの有効性は見出せなかったが、M群ではベースラインに対してJKOM、膝関節屈曲角度、TUG testの有意な改善(各p<0.05)、3・4回目の介入前後で疼痛出現しゃがみ込み角度の有意な改善(各p<0.05)を認めた。一方、C群は有意な変化を認めなかった。複数回のマッサージ療法の有効性を明らかにするためには、今後更に介入の時間、頻度、期間等を再検討する必要がある。

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© 2019 日本理療科教員連盟
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