抄録
要旨
【目的】関節可動域測定アプリCAST-Rのユーザビリティと有用性を検証すること。
【方法】晴眼者群8名、視覚障害者群9名の鍼灸師を測定者とし、モデル1名の肩関節の外転と外旋のROM測定を行った。ROM測定は、①ゴニオメータでの測定(ゴニオ測定)、②スマホ上面または側面を移動軸に合わせる測定法(移動軸測定)、③スマホ背面を移動軸の体表面に密着させる測定法(体表面測定)を、3セット実施し、終了後にアンケートの回答を依頼した。評価項目は、所要時間とアンケートとし、所要時間の遅延例は、行動観察法を実施した。解析は、各測定法間および測定者間の比較を行った。
【結果・考察】所要時間では、視覚障害者群において、外旋のゴニオ測定vs体表面測定で体表面測定の方が有意に測定時間が短かった。これは体表面測定の測定操作が容易であるためと考える。外旋のみで有意差が認められたことから、難易度が高い測定でアプリの有用性が高まることが示唆された。アンケートでは、両群ともアプリの必要性は高評価だったが、ユーザビリティ評価は平均レベルであった。これは、自由記述や行動観察の結果から、CAST-RでのROM測定の習熟度の低さが影響した可能性がある。
【結語】CAST-Rのユーザビリティと有用性が示された。