理療教育研究
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理療教育研究
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 大和田 里奈, 福島 正也
    2024 年46 巻1 号 p. 3-13
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2025/08/01
    ジャーナル フリー
    要旨 【目的】関節可動域測定アプリCAST-Rのユーザビリティと有用性を検証すること。 【方法】晴眼者群8名、視覚障害者群9名の鍼灸師を測定者とし、モデル1名の肩関節の外転と外旋のROM測定を行った。ROM測定は、①ゴニオメータでの測定(ゴニオ測定)、②スマホ上面または側面を移動軸に合わせる測定法(移動軸測定)、③スマホ背面を移動軸の体表面に密着させる測定法(体表面測定)を、3セット実施し、終了後にアンケートの回答を依頼した。評価項目は、所要時間とアンケートとし、所要時間の遅延例は、行動観察法を実施した。解析は、各測定法間および測定者間の比較を行った。 【結果・考察】所要時間では、視覚障害者群において、外旋のゴニオ測定vs体表面測定で体表面測定の方が有意に測定時間が短かった。これは体表面測定の測定操作が容易であるためと考える。外旋のみで有意差が認められたことから、難易度が高い測定でアプリの有用性が高まることが示唆された。アンケートでは、両群ともアプリの必要性は高評価だったが、ユーザビリティ評価は平均レベルであった。これは、自由記述や行動観察の結果から、CAST-RでのROM測定の習熟度の低さが影響した可能性がある。 【結語】CAST-Rのユーザビリティと有用性が示された。
  • 工藤 滋, 村田 愛, 前田 智洋, 柴田 健一
    2024 年46 巻1 号 p. 15-21
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2025/08/01
    ジャーナル フリー
    要旨 【緒言】視覚障害者を対象とする全国の理療関係学科設置校・施設では、コロナ禍による外来受療者の減少という状況下でも、臨床実習を継続するために、学内教職員を対象とする施術を実施してきた。しかし、コロナ禍による受療者の実態の変化についての調査は行われていない。そこで生徒が体験不足となる点を明らかにするために調査を実施した。 【対象・方法】2018~2021年度の筑波大学附属視覚特別支援学校臨床実習室ののべ受療者3,477人を対象に、基本属性、主訴、施術方法を集計し、コロナ禍前2年間とコロナ禍2年間の合計数を比較した。 【結果】コロナ禍前と比較してコロナ禍では、受療者数、のべ受療者総数が有意に少なかった。基本属性では、外来受療者、女性、高齢者の割合が有意に低く、主訴では腰痛等の減少により他の症状より肩こりを訴える者が多かった。 【考察】受療者の基本属性の変化は、学内受療者の増加によるものと考えられた。また、主訴の変化には、テレワークの増加が関係した可能性が示唆された。 【結語】臨床実習の体験不足を補うためには来療機会の少ない属性の受療者を、各生徒に偏りなく担当させるための予約管理が必要であると考えられた。
  • -視覚障害実習生が肩こり患者を継続的に観察するために有用な評価方法と支援機器を用いた検討-
    近藤 宏, 工藤 滋, 福島 正也, 緒方 梨絵, 小溝 健靖, 右田 創, 三原 健朗, 茂手木 幸彦
    2024 年46 巻1 号 p. 23-32
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2025/08/01
    ジャーナル フリー
    要旨 【目的】視覚障害を有する実習生が、肩こり患者へのあはき施術を行う際に経過を継続的に測定評価できる有用な方法について支援機器を用いて検討した。 【方法】研究対象者は理療臨床実習の実習生15人。実習生は、臨床実習の際に指椎間距離、NRS を用いた頚部動作時での症状の程度、VAS を用いた肩こりの程度、NDIを用いて頚部の痛みによる日常生活への影響の程度について測定した。同じ患者を連続して2回〜3回施術し、継続的な評価を行った。なお、VASとNDIの測定では臨床用評価支援アプリケーション(CAST-Q)を使用した。臨床実習終了後、行った測定評価の困難度等に関する質問票に回答した。 【結果】測定評価の困難度は、頚部動作NRSとCAST-Qを用いた肩こりの程度VASで71.4%が簡単であると回答した。指椎間距離とCAST-Qを用いたNDIでは、50.0%が簡単であると回答した。 【考察・結語】NRSを用いた頚部動作時の症状の程度とCAST-QによるVASを用いた肩こりの程度の測定評価は、視覚障害を有する実習生が肩こり患者へのあはき施術を行う際に経過を継続的に測定評価できる有用な方法であることが示唆された。
  • 工藤 滋, 佐島 毅
    2024 年46 巻1 号 p. 33-41
    発行日: 2024/03/31
    公開日: 2025/08/01
    ジャーナル フリー
    要旨 【緒言】特別支援学校理療科生徒が職業自立していく上で、位置を表す用語の理解は重要である。しかし、立体上の部位を正しく定位できない生徒がいることから、困難さの要因を明らかにすることとした。 【対象・方法】特別支援学校理療科・保健理療科生徒35名を対象に、各面が9分割されている2つの立方体模型を用いて、口頭で指示した部位に磁石を貼り付ける課題を提示した。満点者8名とはずれ値を示した2名を除外した上で、対象を低誤答群と高誤答群に分けて、対象者要因ごとに誤答率を比較した。 【結果】低誤答群は全体誤答率が4.27%で、面別誤答率に有意差は認められなかった。高誤答群の全体誤答率は24.81%で、下面、前面、内側面、外側面の誤答率が有意に高かった。 【考察】低誤答群の誤答の要因はケアレス・ミスによるものであると考えられた。高誤答群の誤答の要因は、課題が特定の用語を含むか否かとは関係なく、面の誤答も影響していないことから、立体上の特定の面における面内の位置の理解の困難さにあると考えられた。 【結語】立体上の部位に関しては、上面次いで後面における部位が、他の面と比較して定位しやすいことが明らかとなった。
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