1976 年 1976 巻 13 号 p. 50-59
6頭の健康馬を3頭ずつ2群に分け,正常緬羊血清(対照群)および抗馬赤血球緬羊血清(実験群)をいずれも1ml/kgずつ静脈内に1回注射し,その後それぞれ6および21日間,臨床学的および血液学的に観察した。その結果,対照群では何らの異常症状もみられず,また血液学的には注射後3時間目に発現した白血球の減少のほか著変はなかった。実験群では,注射直後に呼吸の速迫が発現した。その後,引き続いて観察の初期には発熱,元気の沈衰,食欲の減退,心音の不整,腸蠕動の亢進,貧血,黄疸および著明な血色素尿と蛋白尿,観察の中期には軽度の元気沈衰および貧血と黄疸,さらに末期には軽度の元気沈衰および貧血が主な症状であった。血液学的には,2相性の貧血,3時間後の白血球の一時的減少,それに引き続いた白血球の増加,赤血球の最小および最大抵抗の減弱化,Jolly小体を有する赤血球の軽度の増加と著明な大小不同症,担鉄細胞および赤血球貪食細胞の出現,間接ビリルビンの増加およびCoombs試験の陽性化が認められた。