小学校英語教育学会誌
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研究論文
母語の語彙ネットワークが日本人EFL初学者の語彙習得に与える影響
佐藤 彩香
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2014 年 14 巻 01 号 p. 100-114

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抄録

本研究では,英語学習の入門期にある生徒児童を対象に,母語を用いた語彙指導法の効果を検証した。第二言語学習に母語の語彙知識が与える影響は大きいことから (アレン玉井, 2010),母語の語彙ネットワーク理論に基づく単語の意味的関連性を利用した英語語彙学習を行った。意味的に結びつきの強い語ペアを語彙学習に用いることが有効であることから (Kasahara, 2010),実験1 では日本人中学 1 年生32 名に対し意味的関連性判定課題を行い,生徒の母語ではシンタグマティックとパラディグマ ティックな意味的関連性にある単語どうしの結びつきが強いことを確認した。この結果に基づき,実験2 では日本人中学1 年生94 名が目標語12 語を意図的に学習した。その際,目標語と特定の意味的関連性にある母語の手掛かり語を結びつける形で学習させた。その後,直後再生テストと遅延再生テストを,母語の手掛かり語が提示される条件と,提示されない条件で行った。結果から,(a) 生徒は目標語と意味的関連性の強い手掛かり語を活かすことで目標語を学習すること,および (b) パラディグマティックな意味的関連性を利用した語彙学習が最も効果的であったことが明らかになった

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© 2014 小学校英語教育学会(JES)
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