小学校英語教育学会誌
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実践報告
台湾における小学校英語の授業展開と児童の反応:竹北市・新竹市の事例から
渋谷 玉輝
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キーワード: 台湾, 授業分析, アンケート
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2014 年 14 巻 01 号 p. 20-35

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抄録

本研究は,2001 年に小学校に英語教育を導入した台湾で,実際にどのような授業が展開されているか,また児童が英語の授業をどう意識しているのかを調査して,外国語活動の教育内容を今後より発展させる際に役立つ資料を提供することを目的とする。教育委員会の協力を得られた竹北市と新竹市の設立形態の異なる3 校の小学校の4 クラスの英語の授業を横断的に調査した。まず,各クラスの授業を観察し,担当教員の母語,使用言語,教科書,活動の主体などを分析した。次に,文部科学省 (2010) の「英語教育改善のための調査研究事業に関するアンケート調査 児童用」から8 つの質問を北京語に翻訳して使用し,児童に「英語」と「英語の授業」に関する意識調査を実施した。授業観察の結果, (1) 台湾人の教員の英語運用力が非常に高く,(2) 3 クラスの授業は英語のみで行われ,(3) 教科書に は日本の中学校2 年生で扱われる言語材料が導入されている,という3 点が明らかになった。意識調査では,(1) 「英語」や「英語の授業」に好意的な回答が全体的に多く,(2) 「英語の授業」は,一般公立小学校で台湾人の教員が検定教科書を使用しているクラスが最も好意的な回答が多く,選抜の国立小学校で母語話者が指導するクラスは,中間的な回答が多いこと,などが分かった。 台湾では,(3) 詰め込み型の授業よりも,児童を活動の主体としたクラスの方が,英語への好感度が高くなることが推察された。

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© 2014 小学校英語教育学会(JES)
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