2014 年 14 巻 01 号 p. 210-225
本稿では,ALTが指導する小学校の英語活動において,子どもが何に関心を持っているのか,何を考えながら英語活動に取り組んでいるのかについて,子どもの思いの一端を明らかにすることを目指した。英語活動の観察を行い、そこでみられた子どものつぶやきについてカテゴリ分析と事例分析を行った。その結果,以下のことが明らかになった。(1)1学期には,子どもは理解できているかどうかということを他者と比較するのではなく,自分の活動に意識を向け,英語活動に自分自身が正しく取り組むことを重視していた。(2)2学期になると,正しく理解できているかどうかということは気にしつつも,英語活動に積極的に参加しようとする姿勢をみせるようになった。英語活動に関心を示し,ALT の働きかけに自主的に応じるようになると共に,自分なりの英語活動への取り組みをするようになった。間違えることを意識した消極的参加から自分の考えを自分なりに表現する積極的参加の姿勢へ移行するという変化がつぶやきにみられた。積極的に取り組むようになったのは子どもの正誤に対する意識が低下したためであると考えられる。2つの調査において,このような変化は共通してみられており,多くの子どもが抱く思いであるといえよう。そのため,特に英語活動初期において,子どもが積極的に取り組めるように教師がサポートすることの重要となる。今後の課題としては,現行のプログラムに沿って子どもの思いを把握し,さらなる指針を得ることが必要であろう。