小学校英語教育学会誌
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実践報告
CLIL を応用した二刀流英語指導法の可能性:小学校高学 年児童に社会科内容を取り入れた指導を通して
二五 義博
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2014 年 14 巻 01 号 p. 66-81

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抄録

本研究の目的は,最近ヨーロッパで浸透しているCLIL を日本の小学校英語教育で実践した場合,主に動機づけや「聞く」「話す」のコミュニケーション能力育成の視点からいかなる効果があるのかを探り,ひいては他教科の内容を学びながら言語も同時に習得する二刀流成功の鍵は何なのかを示唆することにある。研究方法としては,広島市の公立小学校5・6年生の児童を対象とし,年間の何回かの英語の授業で社会科内容を取り入れ,CLIL の4つの柱「内容」「言語」および「思考」「協学」を意識した実践を行い,授業実践後には4点法による選択式と感想を聞く記述式のアンケートを実施し,児童の反応を分析した。その結果,①内容が簡単すぎたり難しすぎたりしない限り,CLIL の4つを軸とする活動は児童の知的好奇心を刺激し,社会科の教材により児童の英語学習意欲は高められること,②他教科を学びながらコミュニケーションをとることで,英語学習を強く意識することなく,インプット量を自然に増やし「聞く」「話す」の定着を図ることができること,が明らかになった。また,クラス全員が社会科を好きという訳ではないので,嫌いな子でも活躍の場が持てるように,視覚や身体などの得意な多重知能(MI)を生かす個性重視の指導も併用し,それがより効果的な学習者中心の指導に繋がることも分かった。

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© 2014 小学校英語教育学会(JES)
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