2015 年 15 巻 01 号 p. 68-82
小学校外国語活動の目標を一言で述べれば,「外国語の教授・学習ではなく,外国語に慣れ親しむ」である(文部科学省, 2008a, 2008b)。しかしながら,現状として,この主旨の解釈が必ずしも一致しているとは言えない。小学校外国語活動と中学校外国語教育の連携・接続を議論する上で,「外国語に慣れ親しむ」と「外国語の教授・学習」が目指す言語知識を理解する必要がある。本稿では,小学校外国語活動と中学校外国語教育で培われる言語知識はどういったものであるか,小学校外国語活動で身につける言語知識の想起の手がかりの工夫はどうあるべきかなどの論点を,認知心理学と第二言語習得理論に基づいて考察する。 具体的には,「暗示的言語知識の心理的実在性」「記憶の処理水準説」「符号化特定性原理」の理論的枠組みに基づいて論考を進め,小学校外国語活動と中学校外国語教育の連携・接続に関する理解を深める。