2018 年 18 巻 01 号 p. 100-115
本論文は,「小学校教員養成外国語(英語)コア・カリキュラム」(東京学芸大学, 2017)が提案する知識・技能及び英語運用能力の点から,小学校教諭免許状の取得を希望する大学生が大学における養成期間中に何を学び,身に付ける必要があるのかを調べるために行った調査研究の結果を報告するものである。初等英語科指導法の受講生に対して「小学校教員養成外国語(英語)コア・カリキュラム」の項目の理解度及び自身の英語力の自己評価を問う質問紙調査を行った。また,受講生からTOEIC の得点を得た。受講生のうち2 年生103 名の回答を分析した。その結果,全ての項目について自己評価が低かったが,特に指導法に関する内容についての項目の自己評価が低かった。英語力の自己評価については,受容能力に比べて産出能力の自己評価が低かった。コア・カリキュラムで求めているB1 レベルについては,読むことについては59.2%の学生が肯定的な自己評価(「ややできると思う」と「できると思う」)をしていたが,聞くこと,話すこと[やり取り],書くこと,話すこと[発表]の順で肯定的な回答の割合が少なくなり,話すこと[発表]については27.3%の学生しか肯定的な自己評価 をしていなかった。また,英語運用能力については,コア・カリキュラムで提案しているB1 以上に達している学生は19 人(18%)であった。これらの結果に基づき,カリキュラムの改善・充実のための示唆を考察した。