2018 年 18 巻 01 号 p. 150-165
本研究では,韓国で使用されている小学3 年生から小学6 年生のe 教科書4 冊を分析し,コンテクストの特定化および対話構造を調べた。その結果,対話者の国籍および対話場所がすべて特定されており,コンテクストの特定化率は非常に高いということが明らかになった。さらに,学年が上がるにつれて対話者の一方が韓国人,もう一方が韓国人以外の場合が多く,また対話場面も学年が上がるにつれて,より日常的な場面が多くなり,学習者である小学生の発達・認知・社会的段階を踏まえて制作されていることがわかった。対話構造では,対話の基本である2 ターンがどの学年においても大半を占め,概ね単純な対話から構成されていることがわかったが,2 ターンの対話を詳細に見ると,学年が上がるにつれてターンの組み合わせが体系的に増加し豊富になっていくことが明らかとなった。