2019 年 19 巻 01 号 p. 101-
本研究は,小学校1年次から教科として英語授業を受けた高学年児童の英語能力,及び,英語授業に対する意識の変化とそれらの関係性を明らかにし,児童の自己評価に影聾している要因を探ったも のである。千葉県船橋市内の小学校に在籍する 5 年生児童(約 5,300 名)の約 30%にあたる約 1,600名に 2 種類の英語能力テスト(①語彙テスト,②音ー文字一致認識テスト)を受けてもらい,同時に英語の授業に対する態度・英語能力の自己評価・身に付けたい英語能力などを尋ねる項目からなる質 間紙に答えてもらった。テストの結果から参加校を 3 層(上位 / 中位 / 下位)に分け,1 年後各層10 校から同じ児童(約 800 名)に同一テストを受け,同一質間紙に答えてもらった。質間紙項目から特定できた 3 因子(③英語能力の向上心,④英語授業への関心,⑤英語能力の自己評価)と 2 つのテストの合計 5 つの変数で統計分析を実施した結果,2 種類の英語能力テスト①②と因子中の⑤英語能力の自己評価は有意に向上した一方で,④英語授業への関心は有意に下がっていた。1 年目・2 年目とも,英語能力の自己評価と英語能力テスト①②,④英語授業への関心の変数間で比較的強い正の相関 が見られた。5 年次で英語能力と英語授業への関心が自己評価に影聾を与えており,6 年次では,これに加えて③英語能力の向上心も自己評価に影聾していることが明らかとなった。このことは,もっと 読んだり書いたりできるようになりたいという思いが自分の読み書き能力の評価に関係していること を意味し,6 年次でこの傾向が分析結果に現れたことは,特筆するに値する。