小学校英語教育学会誌
Online ISSN : 2424-1768
Print ISSN : 1348-9275
ISSN-L : 2188-5966
研究論文
小学校外国語・外国語活動で扱われるカタカナ語
日本語と英語の語義の比較分析を通して
星野 由子清水 遥
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キーワード: カタカナ語
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2019 年 19 巻 01 号 p. 117-

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抄録

2018 年度より小学校高学年を対象とした We Can! および中学年を対象とした Let's Try! が使われ始めている。本研究の目的は,これらの教材にどの程度の割合でカタカナ語が含まれているかを調べることである。また,それらの語が We Can! と Let's Try! の中でどのような意味で用いられており, その意味が日本語としてカタカナ語辞典に掲載されている意味と同じなのかについて明らかにすることも目的とした。本研究では,参照した 3 冊のカタカナ語辞典のうち 2 冊以上に載っていた場合にカタカナ語と見なすこととした。その結果,教科書に文字として掲載されている「見る語彙」については 7 割以上の単語がカタカナ語として辞典に掲載されていた。一方,リスニングとして「聞く語彙」についてはその割合が減少し,5 割程度であった。次に,カタカナ語での意味と We Can! や Let's Try! で現れる意味が一致しているのかという調査については,「見る語彙」については頻度 10 以上,「聞く語彙」については頻度 30 以上の語を対象とし,English Vocabulary Profile で示されている意味と比較を行った。その結果,「見る語彙」では 75%程度,「聞く語彙」では 60%程度の意味がカタカナ語辞典に掲載されていた。以上から,使用されていた多くのカタカナ語の意味がすでに児童にとってなじみのあるものである可能性が高いことが示された。カタカナ語と英語の意味が一致している単語は児童に とって意味はなじみがある分,日本語と英語の音の違いに気づかせるような指導が必要であろう。一 方,カタカナ語と英語で意味が一致していない単語については,文脈や場面を通して意味のギャップ に気づかせる指導の工夫が必要だと考えられる。

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© 2019 小学校英語教育学会(JES)
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