2019 年 19 巻 01 号 p. 130-
本研究は,小学生を対象とした語彙サイズテストの開発過程を報告するものである。佐藤(2018) で作成された,Hi, friends!をはじめ小学生を対象とした様々な教材の言語データを基にした語彙リストから作成された試行テストを公立小学校に通う6年生を対象に実施し,その結果をラッシュモデルを援用し分析することで,項目難度のバランスや,基になるリストとの関連,モデルとの適合度を観 察した。その結果,開発したテストには項目難度やフィット値の点で改善するべきテスト項目が含ま れることが明らかになった。今後はより大規模な被験者を対象に,幅広いバックグラウンドを持つ児 童を対象にしたテストの試行と分析を繰り返し,テストそのものの信頼性と妥当性を高めることおよ び,ラッシュモデルを用いた分析から得られた語彙の難度を反映させることで,児童の感じる難度に より近い形で配列されたリストを作成することの必要性が示唆された。