小学校英語教育学会誌
Online ISSN : 2424-1768
Print ISSN : 1348-9275
ISSN-L : 2188-5966
実践報告
小学校英語の教員養成における複言語教育
大山 万容
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2019 年 19 巻 01 号 p. 36-

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抄録

本稿は,社会言語学的知見に基づき,できるだけたくさんの言語変種を扱う小学校英語教育の方策 として,複言語教育の一つである「言語への目覚め活動」に注目し,大学における小学校教員養成の 文脈でそれを用いた実践を報告する。15 週の授業のうち,前半を小学校外国語教育の課題を検討することに,後半を言語への目覚め活動に当てた。授業担当者のノートと参加者のコメントから,フラン スやスイスで出版された教科書の翻訳を用いて複言語教育を日本に導入する際のいくつかの障壁が明らかになった。すなわち,(1)英語以外のヨーロッパの言語一般との接触が少ないこと(2)世界の国名や地理についての知識が少ないこと(3)アルファベットの発展についての基礎知識が欠けていること(4)「言語名と国名が一致しない」という基礎知識が欠けていること,である。このようにフランス語圏で開発された教授法との前提知識の差を知ることを通して,日本の小学校英語教育をさら に豊かにしうる領域が特定できた,と見ることができる。

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© 2019 小学校英語教育学会(JES)
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