近年注目を集めている情意概念の研究にL2 WTC(Willingness to Communicate)がある。現在,教室環境における外国語学習の目標の多くは,学習言語をコミュニケーションの手段とし,日常的な場面で使用することである。L2 WTC はSecond Language(L2)コミュニケーションの実現に大きく関わることが明らかになっている(MacIntyre, Clément, Dörnyei, & Noels, 1998)。本研究では,小学3 年生~中学3 年生までの745 名に横断的に質問紙調査を実施し,L2 WTC およびその関連要因が年齢から受ける影響を明らかにした。各学年85 名を無作為抽出し,年齢を独立変数とする一元配置分散分析を実施した結果,L2 WTC,国際的志向性(international posture),動機づけ(motivation),L2 コミュニケーション能力の認知(L2 perceived competence),L2 コミュニケーション能力における不安感(L2 anxiety),外向性(extroversion)の全ての情意概念において,学習者の年齢が上がるにつれ,統計的な有意差をもって数値が減少することはなかった。また,それぞれの効果量は小さかった。このことから,本研究の参加者については,発達段階の影響が情意概念の値の変容に現れず,学年間で変化は見られなかった。