小学校英語教育学会誌
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研究論文
小学6 年生の文法知識の発達
― 文中の入れ替え可能な語に関する知識に着目して ―
内野 駿介
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2021 年 21 巻 01 号 p. 143-158

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抄録

言語によるコミュニケーションを行うためには文法知識が不可欠である。英語によるコミュニケーションを通した体験的な学習が中心の小学校英語教育においても,児童は英語の規則に気づき,文法知識を獲得していると考えられている。児童の文法知識の発達は類似の表現の蓄積から規則を抽出するカテゴリ学習のプロセスであると捉えることができるが,同一の児童の文法知識の発達を経時的に捉えた研究はこれまでに行われていない。本研究では小学5 年生終了時と6 年生終了時に同一の児童を対象に調査を行い,What [a]sport do [b]you [c]like? の [a] what に続く名詞,[b] 主語,[c] 動詞の各スロットに入り得る語に関する児童の知識の発達を捉えることを試みた。調査には文法性判断課題 (GJT),空所補充課題 (FBT) メタ言語知識課題 (MKT) を用いた。主な結果は次の3 点である。第1 に,児童の文法知識は小学6 年生の1 年間で発達した。第2 に,ひとつの構造でもスロットの位置によって知識の習得度は異なっていた。第3 に,暗示的知識や手続き的知識を身につけている児童はメタ言語知識を身につけている場合もあるが,規則の説明に文法用語はほとんど用いられていなかった。

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© 2021 小学校英語教育学会(JES)
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