小学校英語教育学会誌
Online ISSN : 2424-1768
Print ISSN : 1348-9275
ISSN-L : 2188-5966
研究論文
ある小学校における外国語の時間数と,児童の聴解力,自己評価,英語学習に対する意識の変容
和田 順一酒井 英樹青山 拓実山本 大貴宮川 友梨大内 瑠寧
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2021 年 21 巻 01 号 p. 127-142

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抄録

本研究は,ある小学校における外国語活動の実施時間の異なる 3 つの群(2017 年度卒業生,2018年度卒業生,2019 年度卒業生)を対象に,聴解力,自己評価,英語学習に対する意識の点からどのような変容を経るのかを 3 時点(4 年末,5 年末,6 年末)で調査した。2017 年度卒業生は 4 年次から 6 年次まで各 35 単位時間の授業を受けていた。2018 年度卒業生は 3 年次から 5 年次まで各 35単位時間の授業を,また移行期間である 6 年次に 50 単位時間の We Can! 2 を用いた授業を受けていた。2019 年度卒業生は 2 年次から 4 年次まで各 35 単位時間の授業を受け,移行期間中の 5 年次と 6 年次に We Can! を用いた授業を各 70 単位時間受けていた。分析の結果を総括すると,聴解力と自己評価においては,学年が進行するにつれて高くなったが,聴解力の変容に対する時間数の要因は明確でなかった。英語学習に対する意識については,「英語の授業や活動の好き,楽しい」は,学年が進行するにつれて 3 群とも下がり,時間数が多い群でより低くなった。「英語への慣れ親しみ」に関しては学年進行に伴う変容はなく,時間数の影響もみられなかった。「コミュニケーションへの関心・意欲・態度」に関しては,4 年末から5 年末にかけて高くなったが 6 年末で下がるという変容がみられた。「コミュニケーションへの不安」と「動機づけ」と「国際的志向性」は,学年進行に伴う変容はほぼみられなかった。また,いずれも時間数の影響もほぼみられなかった。先行研究との違いに関して,教材の使用や変化,時間数増加に伴う活動や内容の高度化などの点から考察した。

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© 2021 小学校英語教育学会(JES)
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